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6か国協議の日朝国交正常化作業部会は双方の主張の言いっ放しに終わり、3月8日打ち切られました。協議を続けることは確認されましたが,再開がいつになるかはわかりません。 しかし、当面、唯一の手段の6か国協議が、とくに米朝間で動きだしているのも事実です。 北朝鮮とは、勁い(つよい)現実主義に基づき、すなわち、したたかに、且つしなやかに付き合うほかないようです。最近の日本国際フォーラム「百花斉放」欄http://www.jfir.or.jp/j/index.htmで開陳した私の見解を再録します。 200.北朝鮮問題を考えるー今こそ腰を据えてかかれ 投稿日時:2006-12-25 10:57 (注 冒頭の「200」は「百花斉放」欄の番号 以下同じ) 今年もクリスマスになったが、「地には平和」の願いはいっこう達成されそうにない。日本にとって軍事的脅威になるともっとも多くの国民が見ている北朝鮮(読売・ギャラップ共同世論調査。12月16日付読売新聞)に関する6か国協議も、北京で12月18日、1年1ヶ月ぶりに再開されたものの、次回日程も決まらず休会になった。2005年9月採択された北朝鮮の核放棄などを盛り込んだ共同声明は一応再確認されたが、米国の金融制裁解除を核問題論議の前提とする北朝鮮の主張には妥協無く、核廃棄に向けた具体的検証措置は議論にも至らなかった。 中国(6か国協議議長国)の課題毎(非核化、米朝関係正常化、日朝正常化、経済・エネルギー支援、地域安全保障メカニズム)に作業部会を設けるという案もまとまらず、中国はメンツを潰された。日本は拉致問題も重視したが、日朝個別対話すら行われなかった。 北朝鮮は「金融制裁」問題の解決を核議論の入り口にした戦術の成功を自負していると見られる。要求していた米朝協議は6か国協議の枠内とはいえ実現したし、2007年1月にもニューヨークで金融問題に関する米朝専門家会合開催が予定されているようである。北朝鮮は「核保有国」としての立場を誇示しようとしており、共同声明などで期待される完全で後戻りできない朝鮮半島の非核化は、可能としても長い交渉を必要とすることは疑いがない。かえって、この間、北朝鮮はミサイルを含む核戦力強化に狂奔しよう。 拉致問題が動かないこともあり、日本国内では苛立ちが高まっている。前述した読売・ギャラップ共同世論調査では「北朝鮮に核を放棄させるため」国際社会がとるべき対策として「金正日体制を打倒する」が「6か国協議などの場で対話する」の32.8%を押さえ真っ先(39.8%)にあげられた。これは、米国の対話49.6%、打倒5.7%の世論と大違いである。北朝鮮制裁を定めた10月の国連安保理決議1718もあり、金融問題に関する米朝専門家会合などが進展することはあまり期待できないが、米国政府及び議会も、当面、対話路線をとっていくようである。それにはイラク戦争の教訓もあろう。 筆者は寄稿「国際テロ組織と『ならず者国家』への対処は別」(10月1日付「百花斉放」)で、短絡的でない処理が必要であることを主張した。金正日体制の崩壊は自滅であっても周辺諸国に大きな影響を及ぼそう。打倒となると、誰が行うのかは別問題としても200発とされるノドン・ミサイルの発射すら覚悟せねばならない。国際関係は、軽々に動くべきでない問題である。この際、北朝鮮問題には、防衛力強化を含め腰を据えてかかる覚悟が必要であろう。 157.投稿「宥和政策を繰りかえすな」へのコメントー 北朝鮮核実験に続くものは「世界の分極化」? 投稿日時:2006-10-30 16:20 船舶検査を含む経済制裁を定めた北朝鮮制裁決議1718が10月9日核実験実施発表からわずか6日の14日に国連安保理により全会一致で採択されてから、日本(輸入禁止、船舶入港禁止、入国禁止の独自の制裁措置)、米(北朝鮮不拡散法含む)を始めとして世界的に厳しい制裁が実施されてきている。19日の中国唐家璇国務委員と金成日総書記との会談など2回目の実験阻止を目的とする各種の働きかけも行われている。 吉田康彦氏が、ブッシュ大統領に金正日総書記との直接対話を呼びかけた(投稿No.149)ように、米国は北朝鮮が希望する2国間対話に応ずべきとの声もあるが、長南政義氏のように「『支援を与え、譲歩を得る』形式の解決は、『「問題の先延ばし』以外の何物でもない」とする認識(投稿No.150)も増えている。韓国でも太陽政策が揺らいでいる。たとえば米国が主導する大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への参加可否で国内が分裂している。閣僚辞任も相次いでいる。 現実的に見て、たとえば6か国協議の枠内で2国間対話が実現するにしても、米(最近も北朝鮮の偽ドル札スーパーノート非難)が北朝鮮の金融制裁解除などの一方的主張を受け入れるとは予想できない。安保理決議1718は、国連加盟国に採択後30日以内に対北制裁で各国が何を実施したかの安保理への報告を義務付けているが、金正日総書記が総額40億ドルを保有していると報道されるスイスも北朝鮮の金融資産凍結に踏み切った。中国の主要銀行も北朝鮮に対する金融制裁の包囲網を狭めている。明らかに北朝鮮への圧力は高まっている。 せっかく中国・ロシアも受け入れた安保理決議が出来たのである。しばらくは、この決議の履行を確保し実効性を高めて、北朝鮮の反応を見るのが上策である。たしかに2回目の核実験阻止ひとつ見ても解決のめどは立っていないが、これまでも北朝鮮の無法ぶり(我が国との関係では拉致、覚醒剤密輸もある)は有名だった。他方、ミサイルに搭載可能な小型核兵器が開発されるまで、物理的(テロを含む)危険性には大差ない。 さて朝鮮半島の未来について、さまざまなシナリオが描かれている(たとえば10月25日付『Newsweek』誌による武力行使、核ボタン、体制維持、経済改革、内部崩壊)が、問題はもっと大きい。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は10月16日、核技術拡散防止に向けた一段の措置が講じられなければ、約30もの国が短期間で核兵器製造能力を開発する恐れがあると警告した。イランは2基目のウラン濃縮装置を10月から稼働させた(イランは原子力発電の燃料製造が目的としているが、これにより核爆弾1個分の高濃縮ウラン生産に必要な期間は従来予測の半分の5年余に縮まるとされる)。北朝鮮核実験非難を含む我が国などの核軍縮決議案は27日圧倒的多数の賛成により国連総会第一委員会で採択された(反対は米国、インド、北朝鮮の3か国)が、世界は逆方向に動いている。 警告されているのは、まさに私が19月16日の寄稿「近未来を考える(ニュールネサンスからメタモダンへ)」で指摘した「3.乱世」への道である。ミサイル防衛(MD)が技術的に困難な現状からして、M・カプランが説く国際システムの6つの理念型のうち「完全分極化」(すべての国が拒否権を持ち独自に行動できる)の未来である。たとえば、このまま事態が推移して、北朝鮮が核兵器の小型化(さらに米本土にも到達可能な未来型テポドン・ミサイルの開発)を実現するケースである。この可能性に非核国日本がどう対処すべきかは、「1.多強(とくに米中)対立」の未来の可能性の場合と同様、真剣に検討する価値があろう。その場合核武装論を検討の対象から排除することは学問的態度ではない。いずれにせよ北朝鮮への対処は、世界の進路に影響する重要な先例になる。 137.国際テロ組織と「ならず者国家」への対処は別 投稿日時:2006-10-01 10:39 [修正][削除] 9・11米国同時多発テロから5年経った。11月の米中間選挙を睨み、民主党に押され気味の共和党はテロ対策強化を争点として人気回復を図っており、特別軍事法廷設置法を含む関連法を成立させつつある。国際テロ組織の危険性への認識は世界中で深まっている。インドネシア、英国、エジプト、インドの例に見られるように、テロの危険が世界に広がった事実がある。日本でも何が起こるか判らない。悪夢である核テロについても、最近米国の専門家アリソン元国防次官補は、2014年までの今後8年間に生じる可能性を「現状では50%以上」と分析した。 国連総会は、9月にグローバル・テロ対策戦略に関する決議をコンセンスで採択した。いかなる目的もテロ(市民の無差別殺害行為)という手段を正当化しない。イスラム圏でも、罪のない人々の無差別殺害行為はジハード(聖戦)ではないとの認識が高まっている。アラブ諸国も過激派サイトの監視など対策を強化している。 テロリストは、無差別殺害行為により政府側の強硬な対抗措置を誘発し、巻き添えにあう民衆の反政府感情を惹き起こすという戦術すら、とっている。国際テロ対策は、基本的に治安活動である。貧困や社会的差別の是正により、テロを消滅させることはできない。他方、この8月、英国で米国行き旅客機爆破テロ計画が未然に防止されたような国際協力の成果がある。上海協力機構のテロ防止も強権的ながら実績を重ねている。脅威を過大評価し、極端な措置に走る危険は避けつつ、内外で危機管理の不備を整備していく必要がある。 他方、米国が名付けた「ならず者国家」への対処には、別の考慮が必要である。北朝鮮が行ったように国家によるテロ(秘密工作)は存在し、国際テロ組織に対すると同様厳正な措置が必要であるが、例えば大量破壊兵器の開発と保有を目指すことそれ自体はテロではない。アルカイダと一体化したアフガニスタンのタリバン政権打倒は国際的支持を得たが、イラク戦争には反対も多かった。さらに国家は、テロ組織と違い、失いたくないものを有し、国家理性を持つ。リビアの例にみるように交渉による解決の可能性はある。 手段が適切であるか否か及び費用対効果も検討しなければならない。9月下旬一部が公表された米情報機関機密報告「国際テロリズムの動向」は、ジハードを掲げるイスラム過激主義の拡散の「誘因」としてイラク戦争を指摘している。スズメバチの巣をたたき落とせば、蜂が暴れるのは容易に予測できることである。燻煙剤やクロロホルムを使用する方が上策であった。米国が期待した中東民主化も、本年初めのパレスチナ選挙でのハマスの勝利に見られるように、成果をあげていない。北朝鮮もイランも正念場が近付いてきている。外交は優柔不断と一般に評判が悪いが、勇ましい議論を別に、短絡的でない処理が必要である。 |
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